ビザが不許可になることはもちろんあります。就労ビザ申請で不許可になり、当事務所に相談に来られる方も多いです。ビザが許可されるかどうかは、入国管理局の広い裁量権によりますので、申請すれば必ず許可されるというものではありません。
不許可になった事例の中には、そもそも許可されるようなケースではなかった(要件を満たしていなかった)ものもあれば、本来ならば許可されるはずのケースなのに申請書の作成で書類に不備があったり、説明不足だったりして不許可になってしまったものもあります。
ビザが不許可になる理由
1、ビザ(在留資格)に該当性がない。
自社で行う業務が、そもそも「技術・人文知識・国際業務」ビザや「技能」ビザ等の在留資格に該当していないということです。例えば、インバウンド業では、ホテル・旅館業、小売業、飲食業などの「現場」があるお仕事があります。(運送業や建設業等もそうですが)
「現場」がある職種では社内研修のため、ホテル内や店舗(工場内等)でお仕事をする機会もあると思います。けれど、「技術・人文知識・国際業務」ビザで宿泊客の荷物運搬、客室清掃をすることができません。
また、「現場でのお仕事内容」を入国管理局に知らせることなく在留許可を取得した場合、たとえ一時的な研修であったとしても、外国人社員が「現場」で働いていた場合には不法就労となる可能性が出てきます。雇用している貴社が虚偽申請を疑われてしまう可能性もありますので、慎重な対応が必要です。くれぐれも入局管理局に無断で、「現場」に行かせることの無いようにして下さい。
ご注意:上記は「技術・人文知識・国際業務」ビザに関してになります。
ご参考:
①現場での研修についての取扱いや考え方について
➡「技術・人文知識・国際業務」ビザで許容される実務研修
②付随業務として現場のお仕事も出来る「特定技能」ビザに関して
➡「インバウンド業界特定技能ビザ」
③ホテル・旅館での「技術・人文知識・国際業務」ビザ許可不許可事例
➡こちら
2、人材の専門性と職務内容の不一致。
不許可理由で、よくあるのが、「外国人が持つ専門性と職務内容の関連性の薄さ」です。例えば「技術・人文知識・国際業務」ビザが許可されるためには、外国人の学んだ専門性と職務内容に関連性があることが大前提です。
例を挙げると、日本の大学で経済学を学んだ外国人留学生が卒業後に金融機関に入社する場合は許可が下りやすく、一方、ファッション関係の専門学校を卒業した外国人留学生は金融商品の営業を行う場合などは、関連性の薄さから、不許可になる可能性が高いといえます。ただ、後者のような場合でも、その外国人を雇用する合理的理由と、その根拠を示すことができれば許可となることはあり得ます。
専門科目と職務内容の関連性について詳しくは以下のページをご覧ください。
「技術・人文知識・国際業務」ビザの許可・不許可事例(大学)➡こちら
「技術・人文知識・国際業務」ビザの許可・不許可事例(専門学校)➡こちら
3、雇用する企業に問題がある場合
雇用する企業に何らかの問題がある場合もビザ(在留資格)の許可は下りません。
例えば、会社が提出した決算書の内容から判断して、正社員として雇用できる可能性が少ない場合や会社規模があまりにも小さい場合など、雇用企業の継続性に問題がある場合等です。
ですが、会社の規模が小さくても、個人事業主であっても、外国人を雇う必要性があり、雇用する合理的理由を説明できれば在留資格の取得はできます。つまり、外国人を雇用しても大丈夫であるという会社の安定性や継続性をきちんと証明することが大切なのです。
そして、事業内容や職務内容から考えると、何のために外国人を採用するのか、必要性があるのか、全くわからないこと等もビザが取得できない場合に該当します。外国人を雇用する必要性やその外国人に担当させる業務が会社にとってどのように大切かを合理的に説明することが重要です。
ご参考:「企業側が準備する外国人雇用必要書類と審査ポイント」
4、外国人自身に問題がある場合
外国人自身に問題があれば、いくら上記の1、2、3に問題がなくても、在留資格の許可は下りません。外国人自身の「問題」とは、外国人が過去に入管局とトラブルをおこしていたり、入管法違反を犯していたりする場合です。これらは、本人が正直に雇用企業に伝えなければどうしようもないものです。
入管局では外国人の過去の在留状況をすべて把握しています。事実を隠して申請してもすぐにばれてしまいますし、それがのちのちまで影響してしまいます。よくある事例では留学生のアルバイトでのオーバーワークがあります。その他、外国人の中には不法就労と知らず不法就労してしまっている人もいるので、注意が必要です。
それでは、もし不許可になった場合はどうすればいいのでしょうか?
↓
ビザ不許可後の対策について
➡こちら